ブランドストーリー
「太宰のリンゴ酒」とは
リンゴ酒は、広義の意味ではシードルなどのりんごを使用したお酒のことを指す日本語ですが、「太宰のリンゴ酒」は太宰治の小説 津輕に登場する“リンゴ酒”という固有名詞を指しています。
太平洋戦争の最中にビールや日本酒の代替品として実際に飲まれていたもので、戦後、ビールや日本酒が手に入りやすくなり、この“リンゴ酒”が日常的に飲まれることは徐々に減っていったと考えられています。
現代によみがえる太宰のリンゴ酒
きっかけは代表の土岐 彰寿(とき あきなが)が歴史好きであったこと。
過去にも歴史上の人物に関連する商品開発を行っていたことから、『地元である青森県五所川原市に所縁のある人物と掛け合わせた商品をつくることはできないか?』と考え、2021年に太宰のリンゴ酒再現プロジェクトを発足。
これまでにクラウドファンディングを2回実施し、忠実な再現を目指した「津輕」をはじめとする4種類が誕生。しかし、これらの再現には大きな困難がありました。
“リンゴ酒”が作られていたのは戦時中。おそらく記録を残す余裕がなかったり、製造工場の各所で技師等が戦争に駆り出され、きちんと管理できていなかったことから、当時の “リンゴ酒”について、詳細が記されている文献は残っていませんでした。
そのため、青森県内のりんご農家や太宰にまつわる機関・人物、歴史資料館や研究所といった方々に調査・協力をいただきながら、りんごの品種選定や味わい・アルコール度数の調整を行ってきました。
商品の名称は太宰が著した小説タイトルや太宰にまつわるものから名付けており、りんごの品種やアルコール度数・酵母・香りにいたるまで、小説の内容や太宰のエピソードから着想を得ています。
ですが、太宰が飲んだとされる “リンゴ酒”がどんなものだったのか?に対する答えは、いまだに出ていません。ひょっとすると現代のシードルと同じだった可能性もありますし、まったく異なる味わいだったかもしれません。
“リンゴ酒”を探す旅はまだまだ続くのです。
時を経て再現された「太宰のリンゴ酒」は、青森県五所川原市の祭り立佞武多(たちねぷた)の成り立ちに通ずるところがあります。
立佞武多に倣い、「太宰のリンゴ酒」には、地元の人々に親しまれ愛飲されるものとなり、さらには市外の方々が五所川原市に関わるきっかけになってほしいという想いが込められています。